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道ゆき花の歌 番外編 髪と鋏のあとさき
これは、夏の眩しい日。 東桜家の因縁に決着がついた後、円と美芙由がナツクの家を訪れることができなかった頃の話。 「いってきまーす」 鹿乃目は、畑に向かおうとしたナツクの髪を引っ張った。 「いったたたた…何するんですか師匠!」 「お前、この髪どうした」...

みうらさここ
2022年5月1日読了時間: 3分


道ゆき花の歌 伍 角左衛門(完)
序 幼い頃、 「かくざえもん様、みふゆでございます」 角左衛門とそう歳の変わらないその子は、自分の名前に敬称をつけて呼んだ。 綺麗な色の着物を着ているが、根は内気なのか声が震えている。 後継ぎである自分とは腹違いだから。男ではないから。...

みうらさここ
2022年5月1日読了時間: 9分


道ゆき花の歌 肆 円
序 物心ついた時には、回右衛門は闇の中にいた。 正面の柵以外を壁で囲まれた座敷に、寝るための布団と机、排泄をするための蓋付きの桶。光は灯籠の灯りだけ。 そこに回右衛門と、老いた従者が1人いた。 従者は、コンと名乗った。側にいて世話をしたり、文字を教えたりしてくれた。...

みうらさここ
2022年5月1日読了時間: 13分


道ゆき花の歌 参 美芙由
序 「本日のお召し物は季節の花をあしらった上物です」 「本日の晩御飯は、近海で取れた新鮮な鯛を焼いたものです」 「本日いらっしゃる客人は、お父様と縁が深くいらっしゃって」 いつも、人に決められた物を当たり前のように享受していた。 安心で安全で、品のいい物たち。...

みうらさここ
2022年5月1日読了時間: 11分


道ゆき花の歌 弐 鹿乃目
序 十代の頃、鹿乃目は幼い頃から通っていた道場を破門にされ流れ者になった。 理由は、女関係が派手なことだった。 そんなことかと半ば拍子抜けしながら、鹿乃目は道場を後にした。 各地で女の家に世話になりながら、道場に乗り込んでは強い者を蹂躙して倒す。それだけが楽しみだった。...

みうらさここ
2022年5月1日読了時間: 8分


道ゆき花の歌 壱 ナツク
序 じりじりと肌が焼ける。 喉が枯れて声が出ない。 家の外に放り出されてから、一刻は経っていた。 意味がないことを察しながらも、ナツクは力なく戸を叩く。 「お前はなぜ生まれたんだろうな」 父の口癖だった。 そんな時、ナツクは何を言ったらいいか分からなくて、黙って父の目を見つ...

みうらさここ
2022年5月1日読了時間: 9分
小説: Blog2
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