週末の宙返り
- みうらさここ

- 2022年5月3日
- 読了時間: 1分
更新日:2023年9月11日
毎週金曜の夕方になると、自然と向かう場所がある。
その一。スーパーで使わなくなったダンボールをもらう。
ここに並んでる缶づめを買った時もあったけど、全然見向きもされなかった。
まるで媚を売ってほしかったみたいで恥ずかしくなった。
その二。読みかけの本を用意する。
これは、いつも持ち歩いてるから大丈夫。
その三 人目の届かない路地裏に入る。
すると、どこから見ていたのか影の中からあいつが来る。
だが、そこでテンションを上げて可愛がろうものならあいつはすぐに姿を消してしまう。
その四。持参したガムテープでダンボールを組み立て、即席の椅子を作る。
これがなかなか座り心地がいいのだ。
その五。鞄から本を取り出し、しおりが挟んであった箇所を開く。
すると、あいつはダンボールに寄りかかるように身を預けてくる。
「...今週はどうでしたかね?」
その時初めて、その首をなでる。
一人と一匹はそこでお互いの一週間を労い、
また次の一週間へと向かうのだった。






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