ヒューマンプール
- みうらさここ

- 2022年8月19日
- 読了時間: 14分
更新日:2023年9月11日
07:30
ジリリリ... 今日もアラームを止めて、マチは目覚める。 いつも通りの朝。
いつも通りの服。 ただ、今日は少しだけ、いつもと違うことがある。
「お財布、携帯、ハンカチ、ティッシュ... 」
マチは綺麗に光を反射する水色のカードを陽の光にかざし、微笑んだ。
「行きますか」
08:50
集合は、都内某駅のバスターミナル。
9:00に4番乗り場に迎えがくることになっている。 隣の乗り場でツアー客が和気あいあいとしている中、10分前だというのに自分の他には誰 も来ていなかった。
「はよーっす。あんたも当選者?」
駅の方角から声が聞こえて、マチは振り返る。
青年が、片手を上げて歩いてくる。 顔の造形は紛れもなく日本人だけど、ふわふわしたブロンドに、青い瞳。 にこにこ笑った顔は、まるで友達にでも会ったかのよう。
初対面だけど。
「はじめまして」
マチは軽く頭を下げた。
「100万人応募があって、通ったの俺らだけ?すごくない?」
「まだ分かりませんけど、あまり多くはなさそうですね」
青年はふぅん、とマチの顔を覗き込んだ。
「目の色、ライトベージュ?アイボリー?俺もまあまあ変わってるけど、あんたも結構変 わってるじゃん」
「ああ、これは...」
「おはようございます」
今度はその青年の後ろから、メガネをかけた男性が現れた。 物腰が柔らかく、人当たりがいいことが一目で伝わってくる。
「もしかして、お2人ともお友達ですか?」
「「初対面です」だよ」
声を合わせてしまったマチと青年は、思わず顔を見合わせた。
男性はふふっと笑ってから、視線を2人の後方に向けた。
「お迎えが、来たみたいですよ」
水色に塗装されたバスが一台、バスターミナルに入ってきた。
優雅にカーブを描きながら、3人の前に停まる。
中から、バスと同じ色の制服を着た女性が出てきた。
「お待たせいたしました。見学会にご参加の方々でお間違いないでしょうか」
ガイドにしてはなんとなく声が固い。 表情にも少し影が見られたのが気になった。 3人は頷き、それぞれ水色のカードを出す。
「ありがとうございます。お好きな席に御着席ください」
3人は、バスに吸い込まれるようにして入っていった。
11:00
ただ広いバスに、3人とガイドの女性がぽつぽつと座っている。 バスの窓には、カーテンがかかっていたので移動中は何も見えなかった。 どれくらい経ったのだろう。
バスが、停まった。
「お待たせいたしました」
女性の声が響く。
「前の出口からお降りくださいませ」
ゆっくりと立ち上がり、出口へ向かう。
目の前にあったのは、銀色の大きなドーム状の施設だった。
左右を見ても、この建物がどこまで続いているのか見当もつかない。
「こちらへどうぞ」
通されたのは、固く閉じられた金属製のドアの前。
「カードをこちらにかざしてください」
最初に男性がカードをかざす。
ピッ、と軽快な音をたててドアが開いた。
次に青年、その次にマチ。
開いて入った先は、細長い通路になっていた。
いくつかのドアを通過した時だった。
急に開けた空間が広がり、鮮やかな色が目に飛び込む。
「うわぁ」
思わず声がもれてしまった。
水族館の大水槽を思わせるような、巨大なガラスの向こうに緑がかった水色の液体が入っ
ている。
「こちらが、当施設の主要貯薬庫、メイン・プールです」
「すごいね!こりゃ気持ち良く泳げそうだ」
青年は目を輝かせながら、クロールのような動作をしてみせた。
「当施設は遊泳は禁止されております」
「そんなことわかってるって!」
青年がバシバシとガイドさんの背中を叩く。
ガイドさんは、戸惑ったように目を泳がせたあと、咳払いをした。
「それでは、オリエンテーションを行います。その前に、簡単な自己紹介をお願いいたします」
「はい!はい、俺からしてもいーい?」
たじろぐガイドをものともせず、青年はにこにこと笑顔を浮かべながら口を開いた。
「俺は榊ノア(さかき のあ)。半分アメリカの血が入ってるから、見た目はちょっと派手だ けど普通に日本人です。普段は大学生やってます。ヨロシク」
ぱらぱらと拍手が響く。
「じゃあ、次は僕が」
穏やかに手を上げたのは、最後に集合場所に来た男性だった。
「田豆一義(たまめ かずよし)と言います。普段は事務職をしていて、遠くに外出するのも 久々だから楽しみにしていました。よろしくお願いします」
大きな空間に響くまばらな拍手と集中した視線にたじろぎつつ、マチはそっと手を挙げた 。
「柏手街(かしわで まち)です。普段は家で仕事をしています。よろしくお願いします」
拍手の後に、ガイドさんが言った。
「本日ご案内いたします、糸巻凪沙(いとまき ナギサ)です」
パチパチ、と拍手が響き、全員の自己紹介が終わる。
「...それでは、ヒューマンプール株式会社貯蔵施設の見学会を始めさせていただきます」
ガイドさんはやっぱりほの暗い表情で、今日一日の流れを説明した。
12:00
時間も時間なので、まずは社員食堂で実際にお昼ごはんを食べられるようになった。
「和食と洋食、どちらになさいますか?」
マチは、和食を選んだ。
「お、和食?俺も!」
ブロンドを揺らしながらカタン、と隣にトレイを置いたのは、ノアだった。
「意外?」
くすりと笑いながら顔を覗き込んでくるノアに、静かに顔を横に振る。
「個人の趣味嗜好は自由です」
「...ふぅん」
それから、豆田さんが来て三人で食べた。
「それじゃ、僕はそこらへん見ておきたいから」
豆田さんは、そう言って早々と食事を切り上げた。
残る二人は黙々と箸を動かす。
口を開いたのは、ノアだった。
「あんたさ、変わってるって言われない?」
「あまり友達がいないもので」
「あー、ごめん。悪いこと聞いた」
不躾に変わってると言って、でも踏み込みすぎたらすぐに反省する。
それがなんだか人間らしくて、マチは気づくと微笑んでいた。
「和食お好きなんですか?」
ノアはほほをかきながら、うなずく。
「うち、アメリカ人の父さんは稼ぎはいいけど海外飛び回ってる忙しい人でさ。俺小さい頃から日本人の母さんの手料理で育ったから、洋食より和食が好きなの」
「素敵ですね」
ノアははっとしたようにマチを見て、少し照れくさそうに頭をかいた。
「あんたは、何?なんで和食なの」
マチは、あー、と目を泳がせる。
「習慣、ですかね」
「習慣?」
「そういえば、ノアさんはお仕事何されてるんです?」
「俺は賭け事中心!人と話すの好きだから最初は接客業やってたんだけどさ、見た目でやっか まれること多くて。面倒になってやめちゃった」
「私もあまり外が得意じゃなくて。今は家でウェブデザインをしています」
「え、独立してやってんの?すげぇじゃん」
話題は、お互いの仕事の話に移っていった。 マチは気づかれないように、ほっと胸をなでおろした。
「いやぁ、さすが研究施設。帰ってくる途中で迷子になりかけちゃったよ」
豆田さんは、二人が食べ終わってほどなくして帰ってきた。
「あ、もうちょい時間あるよな?俺も奥行ってみたいっす。豆田さん、教えて!」
ノアと豆田は仲良く話しながら研究施設の入り組んだ通路に向かっていった。
「仲良しだなぁ」
その時は、まさかこの後あんなことが起こることになるなんて、思ってもいなかった。
14:00
一通り施設の場所の案内が終わり、四人はまたメインプールの前に戻ってきた。
「以上で、皆さんで回る共通のガイドコースは終了となります。これから二時間自由行動となります。
なお、本施設は24時間監視録音体制で運営しています。 何かお困りのことがあれば、お近くのカメラにお話しかけくださいませ」
静かに頭を下げ、ガイドさんは奥の通路に消えた。
「よっしゃー、どこからいこっかな」
ノアがぐるぐると肩を回す。
「私は、ひとまずお手洗いに行ってから回りますよ」
豆田さんは、そう言って微笑みながらお手洗いへ向かっていった。
「マチはどうすんの?」
「大水槽が綺麗なので、ここでのんびりしています」
「そっか。じゃ、俺行くから。後で色々話そうな」
手を振るノアに、手を振り返す。 そのまま、大水槽の中に揺らめく光を見る。
「これが、ヒューマンプールか」
ガラスの表面はひんやりとしていて、気持ちがいい。
緑がかった水色は、神秘的で優しい色だ。
耳を当てると、かすかに水音も感じる。
ただ そこには確かに透明で分厚い壁がある。
「あんなにも届かなかったのに、こんなに近くにあるなんてね。兄さん」
その時だ。
警報が鳴って、赤いランプが点滅した。
『職員にお知らせします。E-5でサンプルの盗難が発生しました。セキュリティ班はプラ ンFに沿って処理してください』
人工的な女性の声の案内の後に、バタバタと数人があわただしく移動する足音が聞こえた 。
「メインセキュリティは」
「だめです。防犯カメラもセンサーもやられています」
「こんなこと未だかつてなかったことだぞ。セキュリティ班の誰かがやったとしか思えん
」
「今日出勤しているセキュリティ班は皆同室で作業していました。犯行は不可能です」
その後も騒がしく交わされる会話。
マチはとりあえず、すぐ側にあったベンチに腰掛けた。
「マチさん!」
豆田さんがメインルームに戻ってきた。
「豆田さん。盗難事件があったって、放送で...」
「なんだかどこもかしこも赤いランプがちかちかしていて、目が回りそうでしたよ」
ノアも、少し遅れてメインルームに戻ってきた。
「なーんか、やばいことになってんね」
「どこかの部屋にあったサンプルが盗まれたみたいですね」
ガイドの女性が、通路から足早にこちらにかけてくる。
「せっかくの見学日に申し訳ありません。トラブルが発生しましたので、こちらのメイン ルームでしばらくお待ちいただいてもよろしいでしょうか」
三人は各々にうなずき、落ち着かない空気の中ベンチに並んで腰かけた。
「犯人は、なんでサンプルを盗もうと思ったんでしょうか」
マチが首をひねると、ノアは人差し指を立てた。
「そりゃ、金でしょ。今ヒューマンプールの治療薬のマーケットって言ったら、10ミリリ ットルで一億は動く市場になってる。サンプルくらいの量でも一生暮らしていけるくらい の金にはなる」
「なんででしょうねぇ...何か事情があるんでしょうか」
豆田さんも首をひねっている。
確かに、ヒューマンプールの治療薬は高額だ。一般人が一生働いてやっと一人分手に入る
くらいの価値がある。
なぜなら、ヒューマンプールの製造方法や販売権はここ、ヒューマンプール株式会社が独占していて、大量生産をすることも横流しをすることも非常に難しいものになっているのだ。
難病を抱えていてもヒューマンプールの治療薬は保険適応外なので、国から補助金を受けることもできない。
特権階級のみが使用できる、一般人にとっては夢幻の薬なのである。
機密が外にばれないように、見学会も年一回。一般人でも専門家でも出自に限らずだれでも参加できる代わりに、ものすごい倍率の抽選に当たった者だけが参加できるようになっている。
それが、今年はこの三人なわけだが。
当たるか当たらないかでいうと一生当たらない確率の方が高いし、外部の犯行だとしたら施設の仕組みをセキュリティの細部まで詳しく知っている必要がある。
それを考えると、この二人はやっぱり盗んでいない。
というか、どう考えても無理だ。
「あ、豆田さん。俺、トイレ行きたいんすけど場所がわからなくて。教えてもらってもい
いすか」
「もちろん」
通路に向かう二人に手を振りつつ、マチは再び大水槽に目を向けた。
16:00
おかしい。
いつになっても二人が帰ってこない。
「おなかの調子悪いのかな...?」
もし見学している私たち以外に入ってきた外部の人がいて、その人が犯人だったら。
もしかしたら二人とも...
通路を曲がり、化粧室の方に向かいかけた時だった。
こそこそと、誰かが会話をしている。
「あんたが持ってるのは分かってるんだ。ばらさないから、代わりに売り上げの半分を俺
にくださいよ」
「言いがかりはやめてくれないか。僕が持っている証拠なんてどこにもないだろう」
「あんたの歩き方だよ。メインルームから外に行った時よりめちゃめちゃ慎重に足を運んでる。まるで荷物の中に、揺らしちゃいけないものでも入ってるみたいだ。いいから、鞄をよこしなよ」
「おい、やめろっ」
「ノアさん、豆田さん...?」
はっとした顔で、二人がこちらを見る。
ノアの手に握られていたのは、
緑がかった水色の液体が入った小瓶だった。
「...ノアさん、荷物を離してあげてください」
「だって、こいつ」
「離して」
ノアは何か言いたげにこちらを見たが、荷物から手を離した。
「豆田さん、なんで...」
「今日この日のために」
豆田さんは、まっすぐにこちらを見た。
「今日この日のために、僕は生きてきたんだ」
ほの暗い光が差した、瞳だった。
「僕には恋人がいてね。といっても、別れてから三年も経つが。
一億人に一人といわれる難病を抱えていた。
それでも気丈にふるまっていたが、彼女が無理をしていたのはわかっていたよ。
その時、このヒューマンプールの存在を知ったんだ。
でも、高額すぎてね。手が届かない。
しばらく仕事を掛け持ちしていたんだけど、ヒューマンプールの施設の見学会が年一回開
かれていることを知ってね。
これだ、と思った。
これに懸けるしかない。
僕が捕まる分にはどうでもいいんだけど、彼女の元まで薬を届けるまでに僕が捕まったら
元も子もない。
だから、過去に見学会に行った人たちにコンタクトをとった。
施設はどんな構造か。
セキュリティはどのようなものがありそうか。
そして、当選者に金を渡して言ったんだ。
セキュリティルームに入って、データを盗み出してほしいと。
仕事柄コンピュータの仕組みには慣れてるからね。
端末を差し込めば大体のデータをコピーできる媒体を用意して、お願いしたよ。
そして、何年も何年も待ち続けた。
この日を。
僕が実際に施設の見学会に参加できるこの日を。
まあ、僕がヒューマンプールを手に入れるために時間を割きすぎて彼女から別れを告げら
れるなんてトラブルもあったけどね。
そんな些細なことはどうだっていいんだ。
これが、この薬さえ彼女に手に渡れば、なんでもいい。
どうだっていい。
あとのことは」
ノアが、居心地が悪そうに唇をもごもごと動かしている。
マチは、その目をじっと見つめた。
その目の中に、揺らぎを感じたからだ。
「本当に?」
その一言に、豆田はじろりとマチをにらみつける。
「本当に、そう思っていますか」
「本当に、とは?」
マチは一歩、豆田に歩み寄る。
「彼女の今後のために時間を割いて、
彼女に別れを告げられても平気で、
一人で仕事を掛け持ちして、
部屋で難解なセキュリティを解くためにコンピュータと向き合って、
体も心をすり減らして、
それで本当に、いいんですか。
それが本当に、いいんでしょうか」
豆田は一歩、足を下げた。
その分、マチは一歩、歩み寄る。
「私は、難病を抱えています」
ノアがはっとした表情でこちらを見る。
「体の色素がとても薄く、免疫の機能も、人より低いです。
そのせいで、何度も命を危険にさらしてきました。
同じ病気を抱えていた兄は、もう死にました。
亡くなる直前まで、ヒューマンプールがあればなあ、なんて苦笑いしていました。
私も、いつ死ぬかわからない。
でも、私のために誰かがそんな人生を送っていたら。
私だったら耐えられない。
彼女さんも、あなたが自分の人生のために体と心をすり減らしているのを見て、
自分から解放したくて、別れを切り出したんではないでしょうか。
彼女があなたにして欲しかったことは、もっと別のことだったのではないでしょうか。
彼女も、もしかしたら、
彼女の自由な人生を守りたかったあなたと同じように、
あなたの自由な人生を守りたかったのではないでしょうか」
マチは、薬をノアの手からそっと引き抜いた。
「これは、万病の薬です。でも、人を狂わせる猛毒でもあります」
豆田の手に、静かに置く。
「これをどうするかは、豆田さんにお任せします」
19:00
施設に来た警察から一人ひとり事情聴取を受けて、その日は解散となった。
結局、あのあと小さな小瓶がどうなったのかは知らない。
知る由もない。
ただ、日常に戻るだけだ。
ヒューマンプールに別れを告げて。
07:30
ジリリリ... 今日もアラームを止めて、マチは目覚める。
いつも通りの朝。
いつも通りの服。
ただ、今日は少しだけ、いつもと違うことがある。
「お財布、携帯、ハンカチ、ティッシュ... 」
マチは、薄暗い部屋の中伸びをして微笑んだ。
「行きますか」
08:50
集合は、都内某駅のバスターミナル。
「おーっす」
定期的にノアと待ち合わせて、ファストフード店に入るようになった。
Lサイズのポテトと、たくさんのナゲット。
それと、お互いの最近あった話。
もっぱら変わらない内容なのだが、これがどうしてなかなか楽しい。
「そういえば、豆田さんさ」
おお、と身構える。
マチにしては珍しく人の心に踏み込んでしまった自覚があった。
人のやわらかいところに。
「なんか掛け持ちやめて彼女と暮らし始めたってさ。って、これ俺の雇った私立探偵のデータだから、直接この目で見たわけじゃないんだけど」
それは、なんだか。
こう、人の人生を変えてしまったようで気が引けるというか。
「なんだよ、嬉しくないの?」
「いや、嬉しいっていうかなんていうか」
豆田さんと彼女さんの仲がよりあたたかくなっていたらいいな、という。
「あんだけ啖呵切っといてその顔?」
「うーん...ちょっと、踏み込みすぎたかな、と」
「へー、まあ二人のおかげで俺はリスクの高い金稼ぎから足を洗えたしこれでも真面目に働くようになったからびびってんだけどね。
俺が外で働いてるの知ったら、父さんびっくりしてぶっ倒れちゃうかも」
「うれしいと思うよ」
マチの言葉に、ノアはほほをかきながら「うん」とうなずいた。
「それじゃ」
いつも通り、二人は手を振ってそれぞれの日常に戻っていった。
「お待たせいたしました。ヒューマンプール見学会にご参加の方々でお間違いないでしょうか」
参加者は頷き、それぞれ水色のカードを出す。
「ありがとうございます。
念のため、手荷物はこちらで預からせていただきます。
電子機器や携帯電話もお願いいたします。
また、当施設で得た情報は他言無用でお願いいたします。
それでは」
ガイドは、水色の旗でバスの入り口に向けて弧を描いた。
「ヒューマンプールへご案内いたします」



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